唯一無二のストーリーを持つ
香川県のジオサイト
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【香川はジオストーリーが凝縮した地】
香川県には、3回の地球的大変動によってできた地質や地形が凝縮した、世界にもまれな景観があります。
1回目は約1億年前。地球規模での大変動が起き、瀬戸内海地域一帯に広がる花崗岩がつくられました。
2回目は約1,400万年前の「瀬戸内火山活動」。通常地下で冷え固まるマグマが多数地表に噴出したことで、美しいミニ富士(おむすび山)や小豆島の寒霞渓、屋島といった讃岐特有の景色が形づくられました。
3回目は約300万年前から始まりました。フィリピン海プレートの沈み込み方向が変化したため、四国を東西に貫く中央構造線を境に大きな横ずれが生じました。その結果、瀬戸内海が陥没、讃岐山脈が隆起し、今の香川の地形がつくられました。
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【大地の変動を感じるジオサイト】
そんな香川県には魅力的なジオサイトが多数点在しています。例えば三豊市荘内半島の紫雲出山は瀬戸と灘※の境にあるイチ押しのビュースポット。東側には塩飽諸島(しわくしょとう)の多島美が広がり、丸亀平野に目を向ければ飯野山などのおむすび山が一望できます。
小豆島三都(みと)半島の権現崎(ごんげんざき)ではマントル直結安山岩というマグマが花崗岩に貫入している境界を見ることができます。ここは、どのように大陸ができたかという地球規模の謎を解く大きなカギとなる場所。まさに世界に誇るべきジオサイトです。
一つひとつの何気ない風景にも悠久の歴史ドラマが潜んでいます。ぜひジオ的視点で香川県を旅してみてください。
※「瀬戸」は島が多く潮流の速い海域、「灘」は島が少なく穏やかな海域。「瀬戸」と「灘」が交互に分布している瀬戸内海のシワのような地形は300万年間にわたる中央構造線の横ずれによってつくられました
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【教えてくれた人】
香川大学
四国危機管理教育・研究・地域連携推進機構
長谷川修一 特任教授
讃岐ジオパーク構想推進準備委員会委員長。専門は地質工学、地盤災害、地域防災。近年では県内各地を歩いて地形や地質を学ぶ「ジオツーリズム観光」の開発や防災教育に注力。NHK「ブラタモリ」などにも出演